【市販&医薬品】ニキビ対策に!薬剤師おすすめのニキビケア成分を紹介

「できてしまったニキビを治したい!」そんなときは、ニキビケア商品に配合されている成分に注目してみてください。
ニキビケアには、化粧品・薬用化粧品(医薬部外品)・飲み薬・塗り薬と様々。
それぞれの特徴を知って、自分に合ったニキビケアを見つけましょう!

ニキビができるメカニズムをおさらい
ニキビ(医学的には「尋常性痤瘡:じんじょうせいざそう」と呼ばれます)ができるメカニズムは、過剰な皮脂が毛穴に詰まって炎症を起こすことです。
健康な皮膚は、ターンオーバー(新陳代謝)により約28日で、角質(皮膚の表面)がはがれ落ち、新しい皮膚へと生まれ変わります。
皮脂もこのターンオーバー(新陳代謝)とともに排出されていきますが、約28日のサイクルが乱れると、皮脂の排泄が十分にできなくなり、毛穴を詰まらせてしまいます。
毛穴が詰まり行き場のない皮脂は、炎症を引き起こし、毛穴の周りを赤く腫れ上がらせます。これがニキビの原因です。
思春期ニキビと大人ニキビの違いは?
中学生や高校生が悩みがちな思春期ニキビと、大人になってからも悩む大人ニキビ。
その違いはなんでしょうか。
思春期ニキビの特徴
思春期のニキビは、皮脂分泌が活発なTゾーン(おでこ、鼻)によくできます。
思春期にはアンドロゲンという男性ホルモンが分泌されます。アンドロゲンには、皮脂分泌を活発にする作用があります。
過剰な皮脂によって毛穴がふさがると、皮脂はニキビの原因菌であるアクネ菌の栄養源となり、毛穴の中でアクネ菌が繁殖してしまいます。
皮脂の過剰な分泌を引き起こす原因としては、思春期だけでなく、生理前のホルモンバランスの乱れやストレス、睡眠不足、不規則な食生活など様々です。
大人ニキビの特徴
10代の思春期に発生するニキビに対して、20代以降のニキビは「大人ニキビ」と呼ばれることもあります。
大人ニキビでは、Uゾーンと呼ばれるフェイスライン(顎、口周り)や首、デコルテにできやすいのが特徴です。
過剰な皮脂分泌が原因の思春期のニキビとは違い、大人ニキビは飲酒や喫煙、ストレス、不規則な食生活や睡眠不足など様々な要因が絡み合い、皮脂の少ない箇所にもできるためです。
そのため、大人ニキビには適度な保湿が重要です。
ニキビ対策ができる成分を紹介!
ニキビ対策には、いろいろな方法があります。
薬用化粧品(医薬部外品)、塗り薬、飲み薬、ピーリングといった市販品から、病院でもらえる処方箋薬の飲み薬、塗り薬など……。
ニキビ成分MAPを見ながら、それぞれの方法や成分の特徴を知っていきましょう!
市販品でニキビ対策をする場合
最近ではニキビで皮膚科にかかる人も増えましたが、多くの人がまずは市販品でニキビケアを始めると思います。
一番手軽な市販品に含まれる、おすすめ成分を解説していきます。
市販の薬用コスメのおすすめ成分
市販の薬用化粧品は、いわゆる医薬部外品と呼ばれます。普通の化粧品とは異なり、厚生労働省によって効果・効能が認められた化粧品です。
薬用化粧品は化粧品よりもすこし医薬品に近い位置付けで、有効成分*が一定濃度配合されています。
有効成分には、アクネ菌に働く成分、炎症を抑える成分、皮脂分泌を抑える成分があります。
*厚生労働省で効果・効能が認められた成分
働き | 成分名 |
菌に働く | ホモスルファミン 感光素201号 イソプロピルメチルフェノール(別名:シメン-5-オール) サリチル酸 |
炎症を抑える | グリチルリチン酸ジカリウム |
皮脂抑制 | ライスパワーNo.6 |
イソプロピルメチルフェノール
ニキビの原因菌であるアクネ菌を殺菌する有効成分です。
アクネ菌の繁殖を防ぐことで、ニキビの進行を阻止します。
グリチルリチン酸2K
抗炎症成分であるグリチルリチン酸ジカリウムは、ニキビによって生じている炎症を抑えます。
炎症の強い赤ニキビにも効果を発揮します。
ライスパワーNo.6エキス
皮脂の分泌を抑える効果がある有効成分です。
皮脂線に直接働きかけることで、ニキビの原因となる皮脂分泌そのものを抑えます。
市販の塗り薬のおすすめ成分
こちらは化粧品ではなく、ドラッグストアなど市販で購入できる外用薬(塗り薬)に含まれる成分です。
効果も強めな成分が多いですよ!
アラントイン
「メンソレータムアクネス25メディカルローションb」などに配合されている有効成分です。
炎症を抑える働きがあり、ニキビによって生じた傷の修復を促します。
イブプロフェンピコノール
「ペアアクネクリームW」などに配合されている有効成分です。
解熱鎮痛薬のイブプロフェンを塗り薬用に応用した成分で、炎症を鎮めながら、面皰(めんぽう、コメド)の生成を抑えます。
レゾルシン
「ピンプリット にきび治療薬C」などに配合されている有効成分です。
アクネ菌を殺菌して、ニキビによる化膿を防ぎます。
市販の飲み薬のおすすめ成分
ここまで見てきた市販の薬用コスメと塗り薬は外側からのケアになります。
こちらは市販で買える飲み薬に含まれる、おすすめ成分の紹介です。
市販の飲み薬は、ビタミン類と漢方に分けられます。
薬用コスメと併用して飲むと、より効果が期待できます。
分類 | 成分名 |
ビタミン類 | ビタミンB2・B6 ビタミンC ビオチン ナイアシン パントテン酸 |
漢方 | 清上防風湯 |
ビタミンB2・B6
ビタミンB2は皮脂の代謝に働き、ビタミンB6は皮膚や粘膜の健康を守る成分です。
より実感するために、B2とB6は一緒に摂取するのが良いでしょう。
ビタミンC
美白作用をもつ抗酸化成分です。
ビタミンB群とともに、肌の再生をサポートします。
ナイアシン
ビタミンB3とも呼ばれます。
体内における脂質や糖質の機能を守りながら、皮膚や粘膜の健康を保ちます。
ピーリングのおすすめ成分
最近話題のピーリングは、ニキビはもちろん、くすみやシミ対策にも良いと評判です。
ピーリングは美容皮膚科で行う本格的なものから、自宅でできる手軽な方法までいろいろあります。
グリコール酸
ピーリングでもっとも使われているのがこのグリコール酸で、40年以上の実績があります。
表皮のターンオーバーを促進するほかにも、線維芽細胞におけるコラーゲン産生を促したり、角層セラミドの含有量を増やしたりする働きがあります。
また、メラニン色素の合成に関与するチロシナーゼ酵素の活性を抑えることによる、美白作用もあります。
クエン酸
レモンやライムなどの柑橘類に多く含まれるクエン酸には、おだやかなピーリング作用があります。
テレビ番組でも紹介されたことがある、ホームピーリングに使われる成分です。
サリチル酸
「マクロゴール」に「サリチル酸」を吸着させた、「サリチル酸マクロゴールピーリング」が有名です。
皮膚からの吸収がほとんどなく、角層のみを剥離させることができるのが特徴です。
サリチル酸0.2%まででしたら化粧品がありますが、0.2%を超えた効果の強いサリチル酸ピーリングは美容皮膚科などの医療機関で行う必要があります。
※グリコール酸やサリチル酸は、低濃度のものは化粧品を使って自宅でできます。高濃度の本格的なピーリングは、美容皮膚科などで相談しましょう。
病院へ行ってニキビ対策をする場合
ニキビが自分でケアできないくらいに悪化してしまったら、早めに病院にかかるのが大切です。
こちらでは皮膚科で処方される成分について、ご紹介していきます。
病院の塗り薬の成分
まずは処方薬の中でも定番な、塗り薬について解説します。
ニキビの塗り薬は、大きく分けると3つ。
ニキビの塗り薬 ①皮膚の代謝をアップさせて面皰(めんぽう、コメド)を減らす |
軽症のニキビでは、ベピオゲル、ディフェリンゲル、デュアック配合ゲルの中から1つを選ぶことが多いです。
また、必要に応じて外用抗菌薬を併用します。
対して、重症のニキビでは、ベピオゲル、ディフェリンゲル、デュアック配合ゲルの中から1つと、内服の抗生物質の組み合わせで治療します。
(※ニキビが顔の片側に21〜50個ある方が重症の定義とされています。)
働き | 薬の名前 |
皮膚の代謝アップ | ベピオゲル ディフェリンゲル |
抗菌 | ナジフロキサシン クリンダマイシン ゼビアックスローション |
皮膚の代謝アップ +抗菌(合剤) |
エピデュオゲル デュマック配合ゲル |
べピオゲル
「過酸化ベンゾイル」という有効成分が配合された塗り薬です。
ニキビの原因となる面皰(めんぽう、コメド)を減らしながら、原因菌であるアクネ菌の増殖を抑えます。
抗菌作用とピーリング作用を兼ね備えていて効果も強いですが、使い始めは皮膚が赤くなったり、刺激感が出たりします。
ディフェリンゲル
「アダパレン」という有効成分が配合された塗り薬です。
ディフェリンゲルもベピオゲルと同様にピーリング作用があり、ニキビの原因となる面皰(めんぽう、コメド)を減らしてくれます。
ただし、ベピオゲルとは異なり抗菌作用はありません。
ディフェリンゲルと抗菌薬を併用する場合は、まずディフェリンゲルを塗ってから、抗菌薬を塗布します。
エピデュオゲル
ベピオゲルとディフェリンゲルの有効成分を2つとも配合した塗り薬です。(「過酸化ベンゾイル」と「アダパレン」)
ピーリング作用による面皰(めんぽう、コメド)の解消と、抗菌作用によるアクネ菌の殺菌によりニキビを治療します。
2つの有効成分を配合している分、効果は強いですが、刺激感などの副作用も強い傾向にあります。
軽傷の場合は塗り薬のみがおすすめ?
ニキビが軽症の場合は、基本的に塗り薬の抗菌剤の処方となります。
内服の抗生物質は、基本的には重症例にのみ使用します。
これは局所的に塗る外用剤とは異なり、飲み薬の場合は血液に乗って全身に回ってしまうためです。
抗生物質を頻繁に使用すると、細菌が耐性(抵抗力)を獲得してしまい、なかなか薬が効きにくくなってしまいます。
病院の飲み薬の成分
最後に、病院で処方される飲み薬についてみていきましょう。
分類 | 成分名 |
抗生物質 | ロキシスロマイシン ビブラマイシン ミノマイシン |
ビタミン類 | ビタミンB2・B6 ビタミンC ビオチン パントテン酸 |
漢方 | 清上防風湯 |
ビタミン類は、それだけでニキビを治すことはできませんが、脂質代謝を整えてくれたり、皮膚や粘膜の健康を守ってくれたりと、ニキビ治療をサポートしてくれます。
漢方では「清上防風湯」がニキビ治療に適しています。脂っぽい肌にできた炎症を起こしている赤ニキビに効果的で、いわゆる思春期ニキビに処方されます。
ロキシスロマイシン
「ルリッド錠」の商品名で知られる有効成分です。
炎症性のニキビで飲むことが、日本皮膚科学会の治療ガイドラインで推奨されています。
ビブラマイシン
有効成分の「ドキシサイクリン」が配合された抗生物質です。
アクネ菌のタンパク質合成を妨げることで、増殖を抑えます。
治療ガイドラインでは、「ロキシスロマイシン」や「ミノマイシン」よりも強く推奨されています。
ミノマイシン
有効成分の「ミノサイクリン」が配合された抗生物質です。
抗生物質の中では、「ビブラマイシン」と同じテトラサイクリン系というグループに分類されます。
そのため、効果も「ビブラマイシン」と似ていますが、めまいや色素沈着などの副作用の頻度が「ビブラマイシン」よりも高いとされています。
ニキビ対策 〜Q&A〜
ここからはニキビ対策についての疑問を、二宮先生と一緒にお答えしていきます。
Q:ニキビに塗り薬を塗った後に絆創膏を貼ると良いって本当ですか?
医師から特別な指示がない限りは、絆創膏を貼る必要はありません。
塗り薬は通常の塗り方で有効性が確認されています。
絆創膏などで密封することで浸透が上がることはありますが、発赤や刺激感などの副作用も上がってしまうことがありますので、医師の指示に従いましょう。
Q:ニキビができた場所が跡になってしまったのですが完全に治すことってできますか?
ニキビ跡の中でも、色素沈着タイプであれば元どおりに近い状態に治すことはできるかもしれません。
色素沈着タイプのニキビ跡は、メラニン色素が原因なので、美白作用のあるビタミンCやトラネキサム酸が適していますね。
クレータータイプのニキビ跡は、フラクショナルレーザーやTCAピーリングなどの真皮まで届く治療を行えば、目立たなくすることができます。
Q:ついニキビをファンデーションやコンシーラーで隠してしまうのですが、悪化してしまいますか?
化膿や炎症が落ち着いていれば問題はありません。
ファンデーションは、リキッドよりもパウダーの方が肌への負担は小さいです。
パッチテスト済みの商品を選ぶなど、なるべく肌にやさしい化粧品を選びましょう。
Q:マスクでニキビができる原因になるって本当ですか?
肌と化学繊維がこすれ合うと、それだけ肌に負担がかかってしまい、肌荒れが起きやすくなることはあるかもしれません。
特に乾燥肌の人は摩擦に弱いので注意が必要です。
同じマスクを交換せずにずっと使っているのも衛生面で問題があります。
ファンデーションなどがマスクに残っている場合、そういったマスクを使い続けると肌に負担がかかってしまいますね。定期的に交換するようにしましょう。
Q:ニキビの飲み薬と塗り薬って併用しても大丈夫ですか?
問題ありません。
「病院へ行ってニキビ対策をする場合」でお話しした通り、内服薬と外用薬は一緒に処方されることがあります。
病院で処方された薬以外に、市販薬を使っている場合は、医師や薬剤師に確認してくださいね。
Q:逆にニキビができやすくなる相性が悪い成分ってありますか?
個人差がありますが、香料やアルコールなどの添加物に反応して発赤やニキビができてしまう人はいます。
こればかりは、使ってみないとわからないので、初めて使う化粧品の場合はパッチテストや、少量試してみるなどしてみましょう。
また、脂性肌(皮脂分泌が多いオイリー肌)でニキビができている人は、油分の多い化粧品を使うとニキビが悪化してしまう場合があります。ご自身の肌タイプにあった化粧品を選ぶのが大切です。
Q:ニキビで悩んでいるときの化粧品選びのポイントはありますか?
脂性肌(皮脂分泌が多いオイリー肌)であれば油分の少ない化粧品、逆に乾燥肌であればしっかりと保湿ができる化粧品といったようにご自身の肌タイプにあった化粧品を選びましょう。
また、「ノンコメドジェニックテスト済み」を1つの目安にするのも良いですね。
「ノンコメドジェニックテスト済み」であれば、面皰(めんぽう、コメド)ができにくい化粧品といえます。すべての人に必ずできないわけではありませんが、化粧品選びの基準になります。
まとめ
今回は、薬用コスメ、市販薬、ピーリング、処方せん薬と大変ボリューミーな内容でしたね。
ニキビの程度に応じていろいろな対処法があります。
肌質などによって選ぶ成分が異なりますので、それぞれの特徴をぜひ押さえておいていただきたいです。
自宅でのケアだけでは対処できないようなニキビの場合は、なるべく早めに皮膚科で相談してみてくださいね。