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にしたんクリニック院長に聞く!ビタミンC誘導体の効果や副作用は?

ビタミンC誘導体 効果 副作用

「ビタミンC誘導体」というワードはドラッグストアや薬局、デパコスなどの市販品で見かけることが多いかと思います。

サプリメントや、化粧水、美容液といった化粧品など、さまざまな形で売られていますよね。

なんとなく「乾燥肌に良さそう」「美白できそう」「毛穴のケアができそう」というイメージがありますが、実際の効果や副作用についてはご存知ですか?

この記事ではビタミンC誘導体のおすすめの使い方や種類、効果のメカニズムなどをご紹介します。

監修者
にしたんクリニック渋谷院院長 白鳥昌利
にしたんクリニック渋谷院院長 白鳥昌利
美容クリニック『にしたんクリニック』渋谷院院長。社会医療法人社団大成会 長汐病院 外科局長や多摩あおきばクリニック院長などの経歴をもつ。2020年4月よりにしたんクリニック渋谷院院長に就任。

ビタミンC誘導体とはそもそも何?

ビタミンC誘導体とビタミンC、実は効果はほとんど同じです。

ビタミンCは安定性が悪く、光や熱、酸素により徐々にその効果を失ってしまったり、肌への吸収も悪いのです。

また口から摂取しても体内にためておくことができないので、過剰な分は尿として排泄されてしまいます。

それらの欠点を補うために「ビタミンC誘導体」という安定性や持続性を持たせたビタミンCができました。

誘導体にすることで生体内外でも安定し、生体内への吸収率も上がります。

皮膚科の化粧品のほか、原料が比較的安いため市販のプチプラ美白化粧品にも配合されています。

ニキビや毛穴……ビタミンC誘導体の効果

ビタミンC ビタミンC誘導体 効果
ビタミンC、ビタミンC誘導体の効果は大きく分けて5つあります。

ビタミンC・ビタミンC誘導体の効果

1. コラーゲン産生促進で、シワやたるみ、毛穴を改善
2. メラニン産生抑制・色素還元で、シミの予防とシミの改善
3. 抗酸化作用によるシミ、シワ、たるみのケア
4. ニキビの炎症、ニキビ跡のシミをケア
5. ターンオーバー促進でシミを改善

コラーゲン 女性 肌

1. コラーゲン産生促進で、シワやたるみ、毛穴を改善

レチノール(ビタミンA)同様に、シワ改善のコスメでビタミンCが配合されている商品もよく見かけます。

ビタミンCは、肌の真皮層でコラーゲンを作り出し、ハリや潤いを保ち、しわやたるみが起きないようにしてくれます。

これにより、毛穴の引き締めやハリ・弾力アップが期待できます。

2. メラニン産生抑制・色素還元で、シミの予防とシミの改善

褐色のシミである「メラニン」ですが、もともとは無色の「チロシン」という物質が紫外線や炎症、刺激など様々な反応を起こして褐色のシミであるメラニンへ変身します。

ビタミンCは褐色のシミを作る働きを抑制し、すでにできてしまったシミを薄くする働きも期待できます。

ビタミンC

3. 抗酸化作用によるシミ、シワ、たるみのケア

私たちは、紫外線やタバコ、過度のストレス、運動不足、バランスの悪い食事などによって「酸化ストレス」という肌のみならず体にとって有害な反応を起こします。

酸化はシミやシワ、たるみ、毛穴の開きといったトラブルに繋がります。

ビタミンCなどの抗酸化作用のある成分は、酸化の進行を抑える働きがあります。

4. ニキビの炎症、ニキビ跡のシミをケア

ビタミンCの抗酸化作用は、ニキビの炎症性皮疹と、炎症後の紅斑にも効果が期待できます。

ニキビのガイドラインでも、推奨度C1(※)ではありますがビタミンCが推奨されています。

病院ではビタミンCの内服薬が処方されています。炎症後の色素沈着の抑制効果があるので、ニキビの炎症をニキビ跡として残さないようにするためです。

※ニキビ治療にはガイドラインがA,B,Cと推奨度が決まっています。推奨度AやBのアイテムは皮膚科で処方される医薬品が当てはまります。
とくに報告があるのはテトラへキシルデカン酸アスコルビルとL-アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウムですが、他のビタミンC誘導体も期待されています。
日本皮膚科学会ガイドライン.尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017)、(大人ニキビに!おすすめニキビケア化粧水

美白 ターンオーバー

5. ターンオーバー促進でシミを改善

肌の「新陳代謝(ターンオーバー)」とは、新しい肌と古くなった肌を入れ替えるといった意味で使用されます。

シミの元であるメラニンは本来、日焼けをしても元の色に戻るように、ターンオーバーで自然に皮膚の表皮から排出されるものです。

ビタミンCは細胞内のエネルギー代謝を促し、ターンオーバーを促進させる働きを持つことがわかっています。

ビタミンC誘導体の種類と違い

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「化粧品の全成分表示で『ビタミンC誘導体』なんて文字を見たことがない」という方もいるのではないでしょうか?

実は、ビタミンC誘導体にはたくさん種類があり、それぞれの成分名で記載されています。

ビタミンC誘導体は3つに分類される

ビタミンC誘導体は、「アスコルビン酸」と呼ばれる有機化合物です。

ビタミンC誘導体は大きく以下の3つに分類されます。

アスコルビン酸(ビタミンC誘導体)の種類について、さらに詳しく見てみましょう。

水溶性ビタミンC誘導体

水溶性ビタミンC誘導体とは

壊れやすく吸収率が低いビタミンCを、リン酸と結合させることで皮膚への吸収率を高めたもの。

水溶性ビタミンC誘導体は水に溶けやすいため、ローションタイプの化粧水や美容液に用いられます。

即効性があり、短期間で皮膚に吸収されてビタミンC本来の効果が期待できます。

皮脂の分泌を抑える作用や肌をなめらかにする作用などがあり、ざらざら肌・オイリー肌・にきび肌から大人の肌ケアにも効果が期待できます。

しかし敏感肌の場合乾燥しやすくなったり、刺激を与えてしまうこともあるので、特に乾燥肌、敏感肌、炎症のある肌の方は使用に際して注意が必要です。

脂溶性ビタミンC誘導体

脂溶性ビタミンC誘導体とは

本来水溶性であるビタミンCに油分を結合させて脂溶性にすることで、エマルション状態においても配合可能としたもの。

脂溶性ビタミンC誘導体は油に溶けやすい性質をもつもので、クリームやジェルなどに配合しやすいビタミンC誘導体です。

肌への刺激が少なく真皮まで浸透するために、メラニンの生成を抑制し排出を助け、細胞を活性化させて新陳代謝を促進する効果が期待できます。

保湿力もあるので、特に敏感肌・乾燥肌の方や、大人のトラブル肌の改善に有効です。

水溶性に比べて即効性はありませんが、水溶性ビタミンC誘導体よりも皮脂膜や角質層への吸収率が高く、効果の持続性も高いという性質があります。

高い濃度でも刺激が少なく安定性にも優れているなどの特徴も持っています。

両親媒性(新型)ビタミンC誘導体

両親媒性(新型)ビタミンC誘導体とは

定番のリン酸型ビタミンC誘導体にパルミチン酸を付加し、親油性を獲得して機能を高めた新しいビタミンC誘導体。

「パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na」、別名「アプレシエ」「APPS」とも呼ばれているビタミンC誘導体です。

従来のリン酸型ビタミンC誘導体ではイオン導入をしないと真皮まで十分にビタミンCを届けることができませんでしたが、パルミチン酸アルコルビルリン酸は塗るだけで真皮まで到達

しみやしわに対して直接アプローチすることが可能です。

肌への刺激や乾燥も軽減され、長期間使用することで肌にハリを与えるエイジングケア効果も期待できます。

水溶性のメリット「即効性」と、脂溶性のメリット「真皮への浸透力」をあわせ持ったビタミンC誘導体ということで今注目されています。

APPSはLiruu編集部も注目するおすすめのビタミンC誘導体です!

なぜこんなにいろんな種類があるの?

ビタミンC誘導体の効果
アスコルビン酸(ビタミンC)そのものはお肌への浸透が良くありません。

そこでより浸透性を考慮した「リン酸エステル型の誘導体」や、持続性に優れた「配糖体型の誘導体」を含む製品を、各社オリジナルに研究し配合しています。

そのため以下のように、各企業からさまざまな種類のビタミンC誘導体が販売されているのです。

・オイリー肌向けローションタイプの水溶性ビタミンC誘導体
・乾燥肌や敏感肌向けのクリーム、ジェルタイプの脂溶性ビタミンC誘導体
・即効性と持続性を兼ね備えたビタミンC誘導体

APPS、3-O-エチルアスコルビン酸…効果の優劣はある?

ビタミンC誘導体 スキンケア

浸透性や持続性の違いはありますが、トータルの効果での優劣はつけ難いと言えるでしょう。

しかし、化粧品業界では近頃、酵素の働きを必要とせずダイレクトに効果を発揮する「3-O-エチルアスコルビン酸(アスコルビルエチル)」が高頻度で使用されています。

3-O-エチルアスコルビン酸は水溶性のビタミンC誘導体で、即効性があるとされています。

また、両親媒性(新型)のビタミンC誘導体「パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS/アプレシエ)」も、使い勝手の良さではかなり注目されています。

パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS/アプレシエ)は水溶性と脂溶性のメリットを掛け合わせた性質を持ち、塗るだけで真皮に働きかける特徴を持ちます。

ビタミンC誘導体のメカニズム

ビタミンC誘導体は、壊れにくくするために効き目にもロックがかかっています。そのため、お肌に乗った後ビタミンCに戻る必要があるのです。

種類にもよりますが、リン酸がついたビタミンC誘導体はお肌にある「ホスファターゼ」という酵素によって分解されてビタミンCになり効果を発揮します。

メカニズムはビタミンC誘導体の種類によって3つに大別されます。それぞれのメカニズムについて見てみましょう!

1. リン酸型ビタミンC誘導体の場合

イメージでは、ビタミンC(別名:アスコルビン酸)にリン酸が結合していることで効き目がロックされている状態です。

リン酸とアスコルビン酸が結合している部位が、肌の中にあるホスファターゼという酵素によってアスコルビン酸とリン酸に分解されることで、アスコルビン酸のロックが解除され、抗酸化作用、メラニン生成抑制などの効果を発揮します。

2. アスコルビン酸2-グルコシドの場合

「アスコルビン酸2-グルコシド」はビタミンC(アスコルビン酸)にグルコースが1分子付いた構造をしています。

ビタミンC(アスコルビン酸)は単独だと2位の水酸基がとても反応性が高く、壊れやすい構造をしていますが、このように2位の水酸基が結合している(α-グルコシド結合)ことで安定性を保っています。

この構造から生体内にあるαグルコシダーゼという酵素によりビタミンC(アスコルビン酸)とグルコースに分かれ、ビタミンCが効果を発揮するというメカニズムです。

3. 3-O-エチルアスコルビン酸の場合

「3-O-エチルアスコルビン酸」については、酵素反応を必要とせず、肌の奥まで浸透し、効果を発揮するため即効性があります。

また、ビタミンC含有率も高いため、少量で効果を発揮できます。そのため比較的安価で効果を期待できるのです。

そして3-O-エチルアスコルビン酸72時間かけてビタミンCに変換され代謝されるので持続時間がとても長いのも特徴です。

「肌の中にある酵素がアスコルビン酸と保護基(働きをロックしていたリン酸やグルコースなど)に分解してようやく効果を発揮する」と説明しましたが、このひと手間がなくなる、ということです。

ビタミンC誘導体にデメリット・副作用はある?

ビタミンC誘導体 副作用 デメリット

ビタミンCもビタミンC誘導体も、推奨濃度の範囲内であれば、基本的にはお肌に問題なく使用できます。

ローションであればしっかりクレンジングと洗顔をした清潔な肌に使用すること、美容液であれば乳液やクリームで蓋をして乾燥を防ぐなど、基本的なスキンケア方法を守りましょう。

サプリメントの適用量とデメリット

サプリメントでビタミンCを飲むのであれば1日に3000mg(3g)程度までがおすすめ。

大量に服用すると下痢をする恐れがあります。

市販コスメの適用量とデメリット

一般的な市販の化粧水や美容液は適切な濃度(10〜20%)なので副作用はないと思われますが、肌の状態により発赤など副作用が出る可能性もあります。

濃度が高いと皮膚への刺激が強くなり、炎症の原因になることも。

推奨濃度を超えたものは、基本的には吸収されず、炎症反応を起こすからです。

どのくらいの期間使うべき?

1ヶ月 使用期間

目に見える変化が出るまでの期間は、年齢や肌の疲労具合、投与方法による違いがあります。

経皮的投与(塗り薬)は比較的早期に効果が現れ、点滴などはじわじわと効果が現れてきます。

30代以降は早期に変化が出ます。例えば点滴などでは翌日から化粧の乗りが良くなったり、疲労の回復具合が違うなどがあります。

肌のターンオーバーはおよそ28日周期。少なくとも1ヶ月以上は使い続けてみましょう。

ただし、刺激や肌に合わないと感じは場合はすぐに使用を中止してください

ビタミンC誘導体はトラネキサム酸やアルブチンと併用OK

ビタミンC誘導体を使用した後に、別の美白スキンケア成分を使用しても問題ありません。

ビタミンC誘導体と併用されている主な美白成分

トラネキサム酸
アルブチン
ハイドロキノン

市販のコスメには、トラネキサム酸とアルブチン、ビタミンC誘導体とハイドロキノンなどが混ざった商品が数多くあります。

特にトラネキサム酸とアルブチンは、プチプラコスメにもよく配合されていますね。

ただ一つ注意点として、ビタミンC誘導体やコウジ酸、プラセンタエキスなど、さまざまな美白成分で白斑の報告が少数ながらもあることは事実です。

気になる点があれば、医師に相談しましょう。

ビタミンC誘導体に関するQ&A

ビタミンC誘導体の効果

ビタミンC誘導体に関する、よくある疑問と回答をご紹介します。

飲み薬やサプリに使われるビタミンC誘導体の効果は?

お肌に直接塗ることで効果が発揮するビタミンC誘導体が多いようですが、飲み薬やサプリメントでビタミンC誘導体が使われることも。

「アスコルビン酸グルコシド」という、ビタミンCとブドウ糖がくっついたビタミンC誘導体はサプリメントでも使用されます。効果はビタミンCと同じで抗酸化作用、コラーゲン産生抑制、メラニンの生成抑制、既存メラニン色素の還元作用、そのほかさまざまな生理作用の活性が期待できます。

ちなみに塗り薬は局所へ、内服は全身へと用途が違います。内服は全身への作用なので、効果が出るまでに時間がかかります。

また塗り薬の場合、ビタミンC/ビタミンC誘導体のサイズや付加物によって、効果は変わってきます。たとえばナノサイズのものだったり、リン酸と結合されたものだったりすると、経皮からの吸収が高まります。

いずれにせよ、定期的なビタミンCの補給が効果を上げます。

敏感肌に使用しても大丈夫?

ビタミンC誘導体のローションやクリームなどは、敏感肌にも使用できます。敏感肌で美白をしたい方はトラネキサム酸もおすすめします。

同時に使用しても特に問題はなく、「日焼け」、「敏感肌」、「肝斑」といったキーワードが気になる方は一緒に使用してみるといいでしょう。

まとめ

透明感のある健やかなお肌へ導く、ビタミンC誘導体。

乾燥対策や毛穴対策、シミ・シワなど幅広く効果を発揮するおすすめの成分です。

ローションから美容液・クリームまで、たくさんの化粧品に含まれてますので、お気軽にスキンケアに導入してみましょう!

文/m.sugiyama

参照
・宇山侊男ほか.『化粧品成分ガイド 第6版
・鈴木一成ほか.『化粧品成分用語事典2012
・宮地良樹ほか.『美容皮膚科学
・光井武夫.『新化粧品学.美白用薬剤
・朝田康夫. 『美容の医学 美容皮膚科学辞典』 
・株式会社メディカルレビュー社.『Bella Pelle vol.2 No.1
・古川福実ほか.『Q&Aで学ぶ 美容皮膚科ハンドブック
・スキンケア研究所.ハイドロキノンの正しい知識
・cantabria labc HELIOCARE.HELIOCARE 360º
・株式会社林原.アスコルビン酸2-グルコシドとは
・純正化学株式会社.3-O-エチルアスコルビン酸のご紹介
・厚生労働省.医薬部外品・化粧品による白斑等の副作用に関する対策について

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