美容成分として注目されていて、化粧品などに配合されていることも多い『コエンザイムQ10』。
疲労回復効果や、加齢臭の改善にも効果が期待できるとされている成分です。
今回は、そんなコエンザイムQ10の特徴や、効果的な摂取方法について、現役薬剤師と薬剤師経験のあるライターが紹介していきます!
薬剤師・コスメライター
まつみ
調剤薬局やドラッグストアなど、さまざまな職場を経験。
薬剤師の経験を活かして、自分で化粧水を作って試すのが趣味。
第一子を出産したばかりで、現在産休・育休中。
監修者
薬剤師・二宮
薬剤師、漢方薬生薬認定薬剤師、漢方アドバイザーの資格を活かし、調剤薬局や漢方薬局での勤務経験から、医薬品や漢方薬を詳しくわかりやすく解説。現在は化粧品成分検定1級・化粧品成分上級スペシャリストとしても活動し、薬用化粧品の成分を中心に解説を行う。美容や健康に役立つ商品を成分からアドバイスすることが得意。
コエンザイムQ10(CoQ10)とは?
コエンザイムQ10というと、
化粧水や美容液、サプリなどに含まれているイメージですよね。
改めて、どんな成分なのか教えてください。
そもそもコエンザイムQ10は、
ヒトの体内に存在していて、抗酸化作用を持つ「補酵素」。
人体のエネルギーを作るという大切な役割を担っているほか、お肌にハリや潤いをもたらす大切な成分です。
でも、コエンザイムQ10は、加齢と同時に急激に減ってしまうんですよね?
そうですね。それを補うには、コエンザイムQ10の配合の化粧品やサプリを取り入れるのがいいでしょう。
エイジングケアの分野で大活躍!
身近な化粧品などでは、どんな効果が期待できるんでしょうか?
現在、紫外線による
シワやくすみ、乾燥による
小ジワなど
エイジングケア分野で効果が期待されています。
さらにコエンザイムQ10は、疲労軽減、加齢臭(※)にも効果が期待できると言われています。
加齢臭まで…!美容だけでなく、さまざまな効果が期待できる成分なんですね。
(※)参考:コエンザイムQ10による加齢臭ノネナール抑制効果(資生堂)
コエンザイムQ10の別名も要チェック
【コエンザイムQ10の別名】
・『補酵素Q』
・『CoQ10』
・『ユビキノン』
・『ユビデカレノン』 |
コエンザイムQ10には別名があります。例えば、上記の呼び名も、コエンザイムQ10のことを表します。
これらの名前を見かけたら、「コエンザイムQ10のことだ!」と理解すればいいんですね。
コエンザイムQ10がオススメな症状は?
コエンザイムQ10がおすすめな症状 |
化粧品 |
サプリ |
□シワ・くすみ
□ハリツヤの不足
□乾燥による小ジワ
など |
□疲労を感じる
□代謝が悪い
□加齢臭
など |
コエンザイムQ10がおすすめな症状について、化粧品とサプリメントのタイプ別に紹介します!
【化粧品編】コエンザイムQ10がオススメな症状
コエンザイムQ10配合の化粧品がおすすめな症状は、シワ、くすみ、ハリツヤの不足、乾燥による小ジワなどです。
コエンザイムQ10配合の化粧品は、お肌のエイジングケアにぴったりなんですね!
ちなみに化粧品を選ぶ際は、「効能評価試験済み」の化粧品がいいと思います。
この試験を通過した化粧品は「乾燥による小ジワを防ぐ」と表記することが可能になります。
【サプリ編】コエンザイムQ10がオススメな症状
コエンザイムQ10をサプリなどで摂取するのがおすすめなのは、疲労を感じる、代謝が悪い、加齢臭が気になるといった症状です。
もともとコエンザイムQ10は体内で作られる成分なので、サプリメントによってそれを補強してくれる効果が期待できそう!
コエンザイムQ10の効果は?
コエンザイムQ10で期待できる効果 |
化粧品 |
サプリ |
□局所的な抗しわ
□顔のハリ
□つや
など |
□歯周病のリスク軽減
□エネルギーの産生(疲労回復)
□加齢臭の軽減
など |
続いて、化粧品とサプリメントの種類別に、コエンザイムQ10の効果を紹介していきます!
『化粧品』としてのコエンザイムQ10
コエンザイムQ10配合の化粧品で期待できる効果は、局所的な抗しわ、顔のハリ、つやアップなどです。
コエンザイムQ10配合化粧品の詳細を見る
コエンザイムQ10をお肌に使用すると、このような美顔効果が期待できると言われています。
年齢による肌の衰えや、汚染物質や紫外線などの環境による細胞のダメージを防ぎ、細胞本来の働きを高めるエネルギーを作ってくれることが期待でき ます。
コエンザイムQ10を含んでいる化粧品は、ヒアルロン酸など他の保湿成分もしっかり含んでいるものが多いですよ!
『サプリメント』としてのコエンザイムQ10
還元型のコエンザイムQ10をサプリメントなどで摂取し続けることによって、疲労回復(エネルギーの産生)、歯周病のリスク軽減、加齢臭の軽減などの効果が期待できます。
コエンザイムQ10配合サプリの詳細を見る
経口摂取できる還元型のコエンザイムQ10の一部は、機能性表示食品にもなっています。
機能性表示食品とは、一定の効果があると認められている成分を含んだ健康食品などを、消費者庁に届け出ることで許可表示することができるというもの。
たとえばコエンザイムQ10なら、「疲労感を軽減」の効果が期待できるということで、パッケージや広告に表示することが許されている商品が多いです。
近年の研究により、血中コエンザイムQ10の濃度が高い人ほど認知症発症リスクが低いとの結果が報告されていることから、長期の摂取によって認知機能が改善する可能性もあるのではないかと注目されています。
サプリメントとして摂取する場合は、疲労回復を目的として摂取する方も多そうですね。
還元型と酸化型の違いとは?
還元型コエンザイムQ10、酸化型コエンザイムQ10では、どんな違いがあるのか見ていきましょう!
『還元型』のコエンザイムQ10
コエンザイムQ10のサプリメントを選ぶときは、還元型のものを選ぶのがおすすめです!
もともと体内で作られるコエンザイムQ10は『還元型』です。
そのため、還元型のコエンザイムQ10を体外から摂取する場合、体内で変換の必要がないため、効率的にコエンザイムQ10を摂取できます。
『酸化型』のコエンザイムQ10
従来のサプリは『酸化型』が多かったようですが、最近は体内で変換せずに利用できる『還元型』がメジャーになってきました。
酸化型のコエンザイムQ10は、体内で『還元型コエンザイムQ10』に変換されてから効果を発揮します。
還元型に変換する際には、加齢や病気、ストレスによって、変換できる還元型コエンザイムQ10の割合が低下してしまう弱点があります。
効率よくエネルギーを産生するには、還元型のサプリを選ぶとよいでしょう。
【CoQ10】エイジングケアのヒントは「ミトコンドリア」?
いままで行われた数々の研究で、コエンザイムQ10とミトコンドリアは関係があることがわかっています。さらにこれが、老化の原因と関係しているかもしれません。
コエンザイムQ10と老化の関係を詳しく知る
ミトコンドリアって、理科の教科書に出てきたエネルギーを作る細胞内小器官ですよね?
そうです。最近の研究では、加齢によってミトコンドリアの機能が衰え、同等の割合で心臓中の総コエンザイムQ10の量も低下することがわかってきたんです。
加齢とミトコンドリア、コエンザイムQ10に関係がある…。ということは、コエンザイムQ10の摂取が、老化予防に役立つかも…?
老化を「加齢によるエネルギー生産不足の結果」と定義すると、その原因のひとつにコエンザイムQ10の減少が考えられます。
最近では「還元型コエンザイムQ10」に、ミトコンドリアを元気にする役割があるのではという研究もされているんですよ。
コエンザイムQ10に副作用はある?
まれではありますが、コエンザイムQ10にも副作用が存在するんですよね?
サプリメントや化粧品での副作用は、
ほぼ報告されていません。
しかし、医薬品として内服するコエンザイムQ10には、胃部不快感、食欲減退、吐き気、下痢、発疹などの症状が見られることがあるようです。
サプリメントを飲むときの注意点は?
副作用を起こさないためには、きちんとパッケージなどの説明書きを読み、使い方を守ることですよね。
多く飲んでいても、
効果が倍増するとは限りません。なにごとも適量が大切です。
特にサプリメントは、1日300mgを目安に超過しすぎないように気をつけましょう。
注意すべき人は?
乳がんを発症した女性のCoQ10濃度は、他の人と比べて異常値(異常な上昇または低下)を示す確率が高いことが認められた、という報告があります。
がん予防・治療について説得力のあるエビデンスはありませんが、がん治療中の方は避けた方が良いかもしれませんね。
その他にも、血液をサラサラにする薬である
『ワルファリン』の効果を減弱してしまうという報告もあるようです。
『ワルファリン』は厳密な管理が必要な薬なので、こちらを飲んでいる場合も、併用は避けた方がいいかもしれません。
※参考:「総合医療」情報発信サイト(eJIM)
コエンザイムQ10が含まれる食べ物
【コエンザイムQ10を多く食べ物】
□イワシやハマチなどの青魚
□肉類
□ブロッコリー |
普段の食生活でコエンザイムQ10を摂取するなら、これらの食品を意識的に食べるのがおすすめです。
上記のなかでも、還元型コエンザイムQ10の割合が高い食品が、ハマチのお刺身です。
ただ、コエンザイムQ10を食べ物で摂取しようとすると、
100mgはイワシ20匹分に相当するようです…。
効率よく摂取するのなら、サプリとの併用などを検討してみてくださいね!
コエンザイムQ10に関するQ&A
最後に、コエンザイムQ10に関する疑問について、薬剤師・二宮先生と薬剤師資格のあるライターがお答えしていきます!
Q:コエンザイムQ10は、いびき・無呼吸症候群にも効果が期待できるって本当ですか?
最近は、コエンザイムQ10が
睡眠時無呼吸症候群に効果があるのではないかという研究がされています。
いびきと睡眠時無呼吸症候群は、狭くなった気道が原因で起こることから、関連があるとされています。
コエンザイムQ10がこの気道の筋肉にはたらくことで効果が期待できるかもしれない、という研究です。
もしかしたら、今後は睡眠時無呼吸症候群の改善に、コエンザイムQ10が注目されてくるかもしれませんね!
※参考:zakzak
Q:コエンザイムQ10とカルニチンを併用でダイエット効果が期待できると聞いたのですが…?
コエンザイムQ10やカルニチン、αーリポ酸は、ダイエットやエイジングケアの分野で注目されていますね。
というのも、これらの働きでミトコンドリアが元気になることで、代謝活性につながるとされているんです。
代謝が上がると、
痩せやすい身体作りに役に立ちそうですね!
コエンザイムQ10とカルニチンを併用した場合、体脂肪率・体脂肪量・へそ周り周囲径がそれぞれ減少したという報告もあるようです。脂肪燃焼効果も示唆されているので、決して無視できない組み合わせと言えますね。
※参考:日清製粉グループ プレスリリース
Q:コエンザイムQ10のサプリメントは、男性不妊にも効果が期待できますか?
精子とサプリメントの成分には次のような関係性がみられたようです。
コエンザイムQ10は、精子の質を向上させるはたらきが期待できそうですね。
【数の増加】オメガ3系脂肪酸・コエンザイムQ10
【濃度の上昇】セレン・亜鉛・オメガ3系脂肪酸・コエンザイムQ10
【運動性向上】セレン・亜鉛・オメガ3系脂肪酸・コエンザイムQ10・カルニチン
【形態の向上】セレン・オメガ3系脂肪酸・コエンザイムQ10・カルニチン |
※引用:リンクDEダイエット
※参考:About Advances in Nutrition
妊活のときによく使われるマカや亜鉛とともに注目してみるといいかもしれません!
まとめ
コエンザイムQ10はお肌を健やかに保つだけでなく、疲労回復やダイエットなど、健康に関与するさまざまな分野で注目されている成分ということがわかりました。
サプリメントや化粧品で効率よく摂取して、日々を健やかに過ごしていきましょう!