【皮膚科医監修】フィラグリンでアトピー肌が改善される?
- 乾燥
- ざらつき
- ゆらぎ肌
- ニキビ
配合目的 | 皮膚コンディショニング剤、皮膚保護剤、保湿剤 |
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対応するお悩み | 乾燥、ニキビ |
比較的昔からある成分アラントインは、主に傷の治りをはやくする働きがあります。
肌が荒れやすい、傷の治りが遅い、赤みやガサツキが改善されにくい方におすすめの成分です。
アラントインが肌荒れや傷に効くメカニズムの一つに『皮膚線維芽細胞(ひふせんいがさいぼう)』の増殖があります。
皮膚線維芽細胞とは、皮膚のコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの水分保持作用の強い繊維質を作り出し、健康でハリのある皮膚には欠かせない細胞で、アラントインはそれを増殖させる働きがあります。
コラーゲンやヒアルロン酸の増殖は皮膚のたるみやシワに大きく関係してきますので、近年の美容皮膚科ではこの皮膚線維芽細胞をいかに増殖させるか、という試みが盛んにおこなわれています。
中には、皮膚線維芽細胞を増殖させる因子である『FGF』を直接注射する美容皮膚科もあります。
またアラントインは新しい血管ができるように働き、新しい皮膚の肉芽や表皮再生を促してくれます。
シャンプーやハンドクリームなど荒れ肌用の医薬部外品の化粧品や乳液、日焼け止めやパック、薬用せっけん、にきび・肌荒れ・傷・床ずれなどの塗り薬、痔の坐薬、結膜炎の目薬、洗眼薬など幅広く使用されます。
荒れ肌用やにきび用製品の成分を見てみると、本当に多くの製品にアラントインが含有されていることが分かります。
抗菌薬や抗炎症薬、かゆみ止めの成分と一緒に使用されることが多く、似た働きの『パンテノール』や、抗炎症作用のある『グリチルリチン酸』などと一緒に配合されていることがよくあります。
アラントインとは化学的に一から合成されたものではなく、自然界で1912年に発見、抽出された成分です。
古くはヨーロッパの農民が傷薬の民間療法として『ヒレハリ草』を用いており、ヒレハリ草の地下に伸びる茎から抽出された液体を直接傷にのせて治療してきました。その抽出液にアラントインが含まれていたことが後に発見されます。
また、植物以外にもなんと、『うじ虫』の分泌する液体の中にもこのアラントインという成分が含まれています。
戦時中の薬の足りない時代に、傷の上にうじ虫を直接のせるというシーンを映画などで見たことがある方もいるかもしれません。腐った組織を食べてくれるほか、うじ虫の出す分泌物に傷を治すアラントインが含有されていたからなのです。
参照
・宇山侊男ほか.『化粧品成分ガイド 第6版』
・鈴木一成ほか.『化粧品成分用語事典2012』
・小澤王春.『自分で調べて採点できる化粧品毒性判定事典』
・European Commission.Simple Search
・宮地良樹ほか.『美容皮膚科学』
・朝田康夫. 『美容の医学 美容皮膚科学辞典』
・小林化工株式会社.アルキサ軟膏
・厚生労働省医薬食品局審査管理課長.いわゆる薬用化粧品中の有効成分リスト