WGSNにまなぶ環境問題と美容~地球に優しいクリーンな化粧品原料とは~
近年化粧品には、若年層を中心に「地球と身体に優しい仕様」が求められるようになりました。
果たして美容業界は、どう環境問題と向き合っていくのでしょうか?
セミナー概要
今回参加したこちらのセミナーは、2020年1月化粧品開発展(幕張メッセで美容業界者向けに開催される化粧品専門展)で開催されました。
美容業界の開発をサポートするWGSNが、環境問題に影響する化粧品原料をどう改善していくか、講演されました。
WGSNとはロンドン発のビューティートレンドの総合情報源になります。
消費者動向やエキスパートの知見、トレンド分析など、美容業界や化粧品開発に役立つ様々な情報を発信しています。日本化粧品業界で圧倒的な支持を得ています。
今、消費者が求める美容
『化粧品成分』の知識が豊富な消費者が、増えてきているとのことです。成分にこだわる消費者のなかには、若年層を中心に「地球と身体に優しいクリーンな成分」を求める傾向が広がっています。
地球にやさしい化粧品を作る世界の取り組み
現在業界では、環境問題の一因となる化粧品原料を、より安全でクリーンなものに改良する施策が進んでます。
パーム油→ラボ育ちの代替品に
固形石鹸やスキンケアで使用されるパーム油。
150か国で使用されているというパーム油は、森林伐採の理由の8%に挙げられています。二酸化炭素放出の原因となり、環境破壊の一因として考えられています。
そんなパーム油に代わる、持続可能なラボ育ちの代替品(自生しているものでなく、ラボで作られた成分)を開発。自然の森林の伐採を減少させ、環境を守ります。
アボベンゾン→カシューナッツの殻に
日焼け止めに使用されるアボベンゾンは、海洋生物や人に有害だと言われています。こちらを紫外線防止力が示されている天然成分・カシューナッツの殻に切り替えます。
持続性の高いサンケア製品として、南アフリカで特許を出願中です。
シリコン→天然ツクマバターへ
ヘアコンディショニング剤で頻発されるシリコン。人によって頭皮に合わないという意見を、よく聞きます。
こちらを100%天然のツクマバターに置き換える施策が勧めらています。ツクマバターは健康に良いと言われる多価不飽和脂肪酸が含まれ、軽く伸びの良いテクスチャーで肌に馴染みます。
グリッター→バイオグリッターへ
ラメコスメで有名なグリッターですが、最終的にマイクロプラスチックとして海に流れ、海洋生物の脅威となっています。
プラスチックを含まないバイオグリッターに代替えする施策が、世界中で勧められています。
ミツロウ→ビーガンワックスへ
スキンケアでよく使用される保湿成分、ミツロウ。抽出のために女王バチの羽はしばしば切断され、昆虫福祉の観点から問題視されています。
こちらを動物由来の誘導体を含まないビーガンワックスに代替えすることで、消費者に意識の高さをアピール。様々な化粧品に使用できて、製品のテクスチャーをリッチにできます。
まとめ
地球も消費者も安心できる施策が、世界中で進んでいるようです。
環境や身体のことを考えた化粧品が、今後どんどん展開していくと思うと楽しみですね。
文/島田 史
参照
・WGSN Beauty
・化粧品成分オンライン