ニールワン

ニールワンとは

ニールワンは、ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業が開発した、「シワを改善する」効能・効果を有する成分です。(成分名：三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na)

加齢と共に多くの人が抱える悩みでもある「シワ」ですが、それまでシワを改善する薬用化粧品は存在しておらず、このニールワンはその承認第1号となったものです。

現在はポーラのリンクルショットメディカルセラムにのみ含有されています。本製品は、日本香粧品学会が定めるシワの評価基準で、グレード3～５（明瞭な浅いシワ～やや深いシワ）にて優位性が認められています。ところでこの商品に関して模倣品が報告されています。ポーラ公式サイトからも注意喚起が行われています。ご注意ください。

ニールワンのメカニズム

シワに深くかかわっているのがコラーゲンの減少です。加齢に伴う生成量の減少や紫外線などによるダメージがその原因として知られています。

コラーゲンの生成と分解のバランスが崩壊してしまうとコラーゲンが失われていき、肌にシワが刻まれます。
ニールワンはそのコラーゲンの壊れる過程を抑えることで、コラーゲン量を回復することに成功しました。

開発元のポーラ化成工業は、好中球エラスターゼという酵素の一種がコラーゲン、エラスチンなどの真皮成分（お肌のハリに深くかかわる成分）を分解することを世界で初めて突き止め、その酵素の働きを抑制する成分としてニールワンを見出しました。

好中球というものは、私たちの血球成分で免疫に深く関わっています。
紫外線や、顔の表情圧による微弱な刺激・炎症を身体自身が『傷』と認識してしまいます。その傷を治すために集まった好中球がエラスターゼを放出し、お肌のハリに必要な真皮成分の分解を起こしてしまいます。
ただでさえ加齢によるコラーゲン生成は減少するのですが、さらにこういったエラスターゼの働きによって少しずつシワが深くなっていくのです。

その他のシワ改善有効成分

純粋レチノール

ニールワンに続いて承認されたシワ改善有効成分としては資生堂の『純粋レチノール』があります。
こちらはお肌の表皮角化細胞でのヒアルロン酸の生成を助ける効果があります。

美容医療ではシワを目立たなくする処置としてヒアルロン酸の注入が行われていることをご存じの方もいるかもしれません。ヒアルロン酸によって保水性が向上し、肌の弾力やハリが得られます。
ニールワンがお肌のやや深い部分の真皮層をターゲットとしているのに対し、純粋レチノールはお肌の浅い部分である表皮にアプローチした成分と言えます。

ナイアシンアミド

もう1つ、コーセーのナイアシンアミドを含む製品が承認を受けています。
ナイアシンアミドはビタミンB群の一種でニコチン酸アミドとも言われ、美白効果も併せ持っている成分です。実は前述のレチノールもビタミンAのことであり、ナイアシンアミドと共にそれ自体は目新しい成分ではなく、シワ改善という新しい効能効果を見出したことにより製品化されています。

参照
・宇山侊男ほか.『化粧品成分ガイド 第6版』
・鈴木一成ほか.『化粧品成分用語事典2012』
・小澤王春.『自分で調べて採点できる化粧品毒性判定事典』
・European Commission.Simple Search
・POLA.「リンクルショット メディカル セラム」の模倣品に関するご注意
・POLA.リンクルショット
・POLA.日本で唯一※1、シワを改善する薬用化粧品（美容液）『リンクルショット メディカル セラム』誕生
・エリクシール.純粋レチノールで、しわを改善。