皮膚科医に聞く日焼け後のスキンケア!すぐの美白パックはNGって本当?
- 日焼け
- 美白
別名 | デクスパンテノールW |
---|---|
配合目的 | 皮膚コンディショニング剤、その他 |
対応するお悩み | 美白 |
PCE-DP(ピース・ディーピー)は、ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業が開発した、「メラニンの蓄積を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」効能・効果を有する成分(成分名:デクスパンテノールW)です。
美白有効成分を巡っては、2013年に話題となった白斑様症状の副作用問題を受け、審査基準が厳格化され承認取得のハードルが高くなっていましたが、そんな中、2018年12月におよそ10年ぶりに承認された新規美白有効成分です。
そもそもシミの原因となるメラニンは、紫外線からお肌の細胞を守るためのバリアとして生成される物質です。
では、そのシミであるメラニンのバリアがなくても、肌の細胞が耐えられるようにすることが、シミができない秘訣なのではないか、と考えました。
そして、お肌の表皮細胞を紫外線に負けないエネルギーに満ちたタフな状態にするという構想のもとに研究が行われ、その結果誕生したのがPCE-DPです。
PCE-DPという名前は、その作用機序と成分名から由来し、
「Priming(爆発的に高める)、Cell(細胞)、Energy(エネルギー)」と「デクスパンテノール」の頭文字からそれぞれ取って名付けられたものです。
PCE-DPは、表皮細胞において『クエン酸回路』というエネルギー生成に重要な代謝回路の活性化に関与します。
通常、表皮細胞においてはクエン酸回路の活性はあまり高くなく、その活性を高めることで、エネルギーの高い状態を作りメラニンの生成を減少させることが示唆されています。
また、表皮細胞の増殖も活発になることから表皮の生まれ変わりも促進され、表皮の状態を総合的に改善します。
PCE-DPは、前述の通り既存の成分とは異なった着眼点で開発された新しいタイプの美白成分です。チロシナーゼの活性阻害やメラノサイトの破壊などとは全く異なり、肌を強くする美白剤です。
現在市場に出回っている美白成分としてポピュラーな物の1つはビタミンC誘導体です。
ビタミンC誘導体は、メラニン生成に関わるチロシナーゼという酵素を阻害することでミを防ぎます。
その他にも色々な作用があり、メラニンを還元してシミを薄くするということも言われていますが、厚生労働省に承認された美白有効成分を含む医薬部外品はすべて予防が目的で、製品のパッケージには「メラニン色素の生成を抑え、シミ、そばかすを防ぐ」旨の記載のみ表示できることになっています。
また、このチロシナーゼ阻害が非常に強力なのが”肌の漂白剤”とも言われるハイドロキノンです。
過去には、不安定な性質であるが故に医師の処方がないと使用できないものとなっていましたが、薬機法の改正により市販の化粧品にもハイドロキノンが配合できるようになり、現在では広く使用されています。
その他、トレチノインのように肌のターンオーバーを促進することでメラニンを排泄する機序をもつ成分もあります。
そして、お肌のクエン酸回路を活発にすることがこのPCE-DPのメカニズムと考えられていますので、他にもクエン酸回路を活発にするナイアシンやビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12などの成分も今後は美白のサポート成分として期待されます。
『パンテノール』自体は既にお肌の炎症を和らげる、皮膚を修復する、保湿といった働きがすでに知られており様々な化粧品に含まれています。
今回ポーラが美白という新しい働きを見つけましたが、実は成分自体は古くから使われているもので、安全性も高いものです。ハイドロキノンなどの強い美白成分に抵抗のある方におすすめです。
本成分を含む製品が、株式会社ポーラより発売されています。
ポーラの美白ブランド「ホワイトショット」より、「ホワイトショットLX」(ローション)、「ホワイトショットMX」(ジェル状ミルク)と性状の違う2製品が登場しています。
参照
・POLA.10年ぶり※1に承認された新規美白※2有効成分配合 ホワイトショット ローション・ミルクが誕生 『ホワイトショット LX』『ホワイトショット MX』誕生
・POLA.2018年12月承認の新規美白有効成分配合商品 ポーラから2019年5月24日より発売